訪問診療について

当院の訪問診療は比較的状態が安定している方に月1回の訪問診療を行っています。1割負担で自己負担額は2600円位です。もちろん診療時間内であれば緊急往診(急変時)の対応も致します。(24時間対応はできません)

 在宅医療専門のクリニックでは24時間対応を行っていますが、月2回以上の訪問を条件とするところが多い様です。月2回自宅への訪問診療の場合は1割負担で7000円位かかります。

 年齢・疾病等により歩行困難・通院困難となり家族の方が薬だけ取りに行っている方も多数存在している様です。しかし無診察の処方は保険診療で認められていません。また実際に対面診察することで『きめ細かい薬剤調節』が可能であり、患者さまの『不安感・心配感軽減』にもつながります。家族以外の人と『しゃべる』ということ自体も、患者さまに良い効果を与えます。

 北区王子・豊島・岸町などの現状では徒歩圏内での対応となってしまいますが、訪問診療に関して気になる方はご相談下さい。なお初回の訪問時は訪問診療ではなく往診対応となります。(往診の方が訪問診療より値段は安くなりますが、定期的な往診は保険で認められておらず訪問診療とすることとなっています。)

気管支喘息(特に吸入薬に関して)

気管支喘息は空気の通り道である気管支が主にアレルギー性の炎症(痛んでしまうこと)によって狭くなってしまい、喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼーと音がする)を起こしてしまう病気です。季節の変わり目や風邪を引いた際などに悪化しやすくなります。喘息の発作は夜から明け方に悪くなることが多いのが特徴です。

 この炎症を抑えるためにステロイドという薬を使います。ステロイドは内服・点滴等で投与すると全身に作用してしまいます。急に悪化した際などは全身に作用することによる不利益より確実に作用する利益の方が大きくなります。しかし継続して使うのは不利益(副作用)の方が大きくなるため、基本的にはステロイドの吸入薬を用います。ステロイドを吸入することで全身性の副作用を少なくした状態で空気の通り道の炎症を抑えます。喉などにステロイドが付着するとカビ等の原因となるため、うがいは必要です。

 気管支喘息では空気の通り道を広げるために気管支拡張薬(主にβ刺激薬)も吸入で用います。2007年に吸入ステロイドと吸入β刺激薬の合剤が初めて日本で発売され、現在は複数の合剤が発売されています。合剤の発売により喘息の専門家でも質の高い治療が容易にできるようになってきました。

 合剤も製剤毎に特徴があり、1日1回でよいもの、吸入の刺激が少ないもの、など色々あります。逆にそれぞれにデメリットがあり、ガスで出てくるものではその刺激でかえって咳がでてしまうひとがいること、1回に2吸入すると動悸が出てしまって続けられない人がいること、など患者さん毎に合わせた選択が必要になってきます。

 院長の岩岡も種々のアレルギー性疾患があり感染後等に咳がとまらなくなった際は吸入ステロイドとβ刺激薬の合剤を使用しています。これまでに色々な薬剤を実際に試しているのでそれぞれの特徴も理解しています。吸入薬を含めて喘息で心配なことがあればご相談下さい。

血圧について

心臓(ポンプ)から送り出された血液は動脈という血管(ホース)を通って全身に送りだされ、酸素や栄養がもたらされます。心臓から送り出された血液により血管にかかる圧力が血圧です。

● 収縮期血圧(上の血圧)は心臓が収縮している(仕事をしている)ときの血圧
● 拡張期血圧(下の血圧)は心臓が拡張している(休んでいる)ときの血圧(血管のしなやかさで心臓から血液が送り出されていないときにも全身に血液を届ける。)

安定して血液を全身に巡らせるためには血管のしなやかさが必要になってきます。

高血圧

診察室で血圧測定をした際に収縮期血圧が140以上 かつ/または 拡張期血圧が90以上あれば高血圧となります。血圧が高くてもそれだけでは症状がないことが多いです。

しかし、血圧が高いのを放置すると

  1. 血管(ホース)に余計な負担がかかり続け、血管が固くなる(しなやかさがなくなる)
    → 体中に血液がうまく送り出せなくなる。
    → 腎臓病や脳卒中・心筋梗塞などの原因になる。
  2. 心臓(ポンプ)が血液を送り出すために余計に働かないといけない。
    → 心臓に負担がたまっていく。
    → 心不全の原因になる。

症状がないからといって高血圧を放っておくと大変なことになります。

家庭血圧について

高血圧の基準のところで「診察室で血圧測定をした際に収縮期血圧が140以上 かつ/または 拡張期血圧が90以上あれば高血圧」と記載しました。
 実はもう一つ高血圧の基準があって、家庭で血圧測定をした際に収縮期血圧が135以上 かつ/または 拡張期血圧が85以上あれば高血圧となります。(1-2分休んだ状態で測定、運動した直後に血圧が高くなること自体は正常な反応です。)

医者の前に来ると血圧が高くなることはよくあります(白衣を見ると血圧が高くなるとのことで白衣高血圧と呼ばれますが、医者が白衣を着ていなくてももちろん高くなるひとが多いです)。また診察室での血圧測定は2-4週に1回しかありませんが、家庭での血圧測定はそれこそ毎日測定することになります。

高血圧の診断および治療効果判定として家庭血圧の重要性が言われており、当院でも家庭血圧を重要視しています。

高血圧の原因

  1. 高血圧には原因がはっきりしない本態性高血圧(ほとんどがこちら。いわゆる生活習慣病。)
  2. 他の要因によって引き起こされる二次性高血圧(ホルモンの病気・代表として原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群など。)

二次性高血圧は調べようと思って調べないと見過ごされてしまうことも多い疾患です。特にホルモンの病気等で起こる場合には生活改善だけで血圧が改善することはありません。
睡眠時無呼吸症候群の場合は、それに対する治療だけ血圧が改善するひともいます。

(当院では必要に応じて二次性高血圧の検査も行っていきます)

本態性高血圧の治療方法

 高血圧の治療というとすぐに薬と思うひとが多いと思います…。しかしまず大事なのは生活習慣の改善です。具体的には減塩・運動・体重減量・禁煙・節酒などです。生活習慣の改善で十分良くならない場合に血圧を下げる治療が始まっていきます。

(ガイドラインでは血圧の高さの程度および糖尿病などの合併症の存在によっては直ちに降圧治療を開始するように記載があり当院でも必要に応じて降圧薬を初診時から開始しますが、その場合にも生活習慣の改善は重要です。)
 血圧を下げる薬(降圧薬)にも複数の種類があり、患者さんの状態・合併症等に応じて適切に選択・調節していく必要があります。(合併症・年齢等により向き・不向きのものが存在します)